植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

岩に刻まれた同心円

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硬い岩石に渦のような模様が刻まれている。周囲にもいくつか渦が見える。何か意味ありげで想像が広がる。場所は先日の神奈川県伊勢原市の丘陵で、丹沢山地の麓にあたる。崖に顔を出していた。

 

よく見ると渦は同心円で、幅1㎝ぐらいの多数の層からなっている。円は中心部まで幅がほぼそろっており、周辺に行くほど角張ってくる。元の岩石はきめの粗い凝灰岩(ぎょうかいがん)のようである。海底火山の火山灰などの噴出物が固まったものだ。丹沢のものは本来割るのに苦労するほど硬いのだが、これは手でもボロボロ崩れる。

 

種を明かせば、これはいわゆる「玉ねぎ状風化」と呼ばれる地質学的な現象である。「風化(ふうか)」とは、地表の岩石が風雨や日射、生物などの作用で次第に破壊されることをいう。硬い岩でも地中で様々な力を受けて微小な割れ目が生じる。地表に出ると水の作用も加わって、温度変化で割れ目が膨張収縮を繰り返すうちに、一定の条件が揃うと起こる現象である。色々な岩石で起こるがこんなきれいなものを見たのは初めてだ。

 

丹沢山地では牡丹(ボタン)石ともいわれ、登山道沿いなどでよく見られるとのこと。これも大地の悠久の歴史が作った自然の記念物の一つである。