日本でもほとんど多摩丘陵のみに分布が限られる植物である。今年も花の季節がやってきた。いつ見ても奇妙な形をしていると思う。姿だけでなく、色といい毛の生えた様子といい海の軟体動物のような感じだ。
葉に軍服のような迷彩色の模様があり、地面にへばり付くように生えているので全く目立たない。今はまだ落ち葉に覆われていてなおさらである。昔は大きな株がたくさんあったようだが、生息地の里山が開発されて今はなかなか出会えない。それでも永年歩き回っていくつか見られるポイントを探し当てている。
ウマノスズクサ科の多年草。花は長い葉柄の根元に半分土に埋もれたように付き、枯葉をそっとどけて探さなければならない。花びらのように見えるのはガクで花びらはない。中心部の穴の奥に雌シベ雄シベがある。アリなどの昆虫が授粉に関与しているとのことだが、興味は尽きない。