路傍の草むらから赤い花穂が出ていてその存在が知れた。繁茂するイネ科やキク科と比べると奇妙な感じを受ける植物だ。調べるとトウダイグサ科のエノキグサであった。確かに葉はエノキ(榎)そっくりだ。草丈は30~50㎝である。
「灯台(とうだい)」とは、小皿に油を入れて芯を付け灯明(とうみょう)をともした昔の道具である。これまで何種類か紹介してきたが、どれも変わった形をしている。これが一番「灯台」らしい形をしているかもしれない。
画像ではいくつかの花が重なり合っていてわかりにくいが、よく見ると「小皿」に当たるのが径2㎝ぐらいの葯(やく)で、丸っこい粒状の雌シベが乗っている。上から見ると周囲にギザギザがあるハート形で、雌シベから放射状に白い線が出ている。丸い子房が3つほど見分けられる。
その付け根から出ているのが雄花の花穂で「灯芯(とうしん)」に対応する。長さは色々で5㎝ほどあるものもある。雄花は非常に小さく粒にしか見えない。ツボミの時は赤っぽく、咲くと黄白色の雄シベが出てくる。これが「炎」に見立てられる。
灯明に似ているのは面白い暗合である。何故花がこんな形をしているのかわからないが、あちこちで見かける草なのでうまくいっているシステムなのであろう。