小雨の中、前回の寺院の庭をそぞろ歩いていると爽やかな甘い香りがする。探すとこの木であった。地味な黄色の花がどっさりと付いている。調べると菩提樹であった。考えてみるとここはお寺だ、有っても不思議はない。よく境内の清浄な雰囲気と調和している。
高さ3-4mのこんもりした木で、幹が白くて筋がある。葉はポプラに似た三角形で周囲に深い鋸歯(ギザギザ)が目立つ。花穂にヘラ状の葉のような総苞(花の集まりを包むガク)が付いているのが特徴。個々の花は緑がかった5枚のガクに5枚の黄色い花びらがあり、中央に突き出した雌シベの周りをオレンジ色の雄シベが囲んでいる。
「ボダイジュ」はじつは何種類もある。お釈迦様がその樹の下で悟りを開いたのがインドボダイジュ(クワ科)。欧州で並木などになっており、シューベルトの曲で有名なのが西洋ボダイジュ(リンデン、アオイ科シナノキ属)だ。近縁で日本にあるボダイジュは、仏教が中国に入ってきとき熱帯性の本来のものがなく、中国原産の葉の形が似たシナノキ属の木を寺に植えたものが入ってきた。