画像はエノキの幹に付着していたもの。直径10㎝ぐらいのゆがんだ円形。形からウメノキゴケ(梅の木苔)の仲間と思われる。ふつう表面は水色がかった灰色だが、このようにはっきり青いものは少ないように思う。裏は茶色で黒い毛のような仮根がある。
接写して拡大すると、なんともいえぬ変わった景色である。プラスチックの薄い膜を引き裂いたような外見で、ギザギザの裂け目の先に細かい粒状の物(裂芽)が付いている。これが剥がれ落ちて新しい個体になる。
古い木の幹や石垣などに普通に見られる。排気ガスに弱いので都市中心部には見られない。そのため大気汚染の指標とされている。梅の盆栽などに付いていると風格を感じる。付くと木が弱ると嫌われるが、弱った木に付くことが多いだけである。
仲間にはコケという名が付くものが多いが、菌類(カビやキノコの仲間)と藻類の共生体である。葉緑素を持ち光合成のできる藻類から栄養を受け取り、菌類は藻類を保持し、水や無機塩類を藻類に与える。色からは葉緑素の存在は信じられないが、岩に付着したものを踏みしだいた時、緑色が現れるのを見たことがある。