植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ナラ枯れ:カシナガトラップ

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住宅地の中に残された雑木林。周辺の人々が下草刈りなど保全活動を行っているので里山特有の植物などが残っている。最近行ってみると画像のようなものが設置してあった。

 

 この雑木林は主としてコナラというドングリの木からなっており、何本かの幹にビニールの袋のようなものが取り付けられていた。「フラス」と書かれたテープが張りつけられた木もあった。ポスターには「カシナガ捕獲大作戦」とある。以前から耳にしていた「ナラ枯れ」がついに近場にも及んだことを実感した。

 

ナラ枯れ」とは、ナラ菌(カビの一種)によるコナラなどカシ科の樹木の大量枯死をいう。カシノナガキクイムシ(樫の長木食い虫、通称カシナガ)という5㎜ぐらいの小甲虫が媒介する。特に日本海側に広く分布するミズナラが優先する森林で被害が激甚で、森林環境の悪化と生態系への悪影響が心配されている。だいぶ以前になるが、マツノマダラカミキリが媒介する松枯れによって、西日本のアカマツ林が全滅し、山林の様子が一変してしまったことを思い出した。

 

カシナガはコナラなどの古木の中を食害しており、今頃成虫が樹皮に穴をあけて飛び出す。その時体に菌が付着しており、他の木に移るとき感染させる。それをトラップ(わな)で捕まえて減らそうというわけである。この虫がいる木は食べた木クズ(フラス)や糞が外に出ており、要注意だ。

 

松枯れの時は殺虫剤をヘリで撒いたりしたが、木の中にいる虫には効果がなく、他の生物がやられて生態系が一気に危機に瀕した。その反省から、あの手この手の方法が試みられているようだ。効果が上がってナラ枯れが収まってくれることを切に願う。