秋が深まり、木々が葉を落とし草が枯れてくると目立ってくる植物だ。大木の幹に付いたコケの上にキヅタと一緒に生えていた。雑木林の中など薄暗くて湿った場所を好むが、面白い形をしているのでどこかで目にされたことがあると思う。
豆蔦。「ツタ」と言ってもウラボシ科のシダ植物である。直径1㎝ぐらいの膨らんだハートのような形の丸い葉で、少し厚みがある。シダ特有の単純な緑色でツヤがある。バラバラに並んでいるように見えるが、じつは細い緑の糸状のもの(匍匐枝、ほふくし)でつながっており、接合部から根(仮根)を出して木の幹などに付着する。画像をよく見ると匍匐枝が見える。
ヘラ状で茶色の胞子をいっぱいつけた胞子葉(ほうしよう)もついている。小さくて分かりにくいので、別の場所で撮った拡大画像を示す。長さは2~3㎝で胞子嚢が2列になっている。下は箱根の谷底で巨岩の表面にびっしりついていたもの。これが付いていると深山幽谷の雰囲気になる。