植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

丹沢山地の石灰岩

 

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 以前「丹沢の有孔虫化石」(2018-09-07)で、丹沢山地石灰岩が、1500万年前にはるか南にあった火山島にできたサンゴ礁の化石であることを述べた。

 今回は、さらにこの石灰岩の特徴についてみてみたい。

 画像上は、酒匂川支流の一つで見つけたものである。石灰岩は比較的柔らかい石で、流れているうちにすぐに削れて小さくなる。そのため川の本流の河原で見かけることはまれである。酸性の水に溶ける性質があるので、近年の酸性雨の影響もあるかもしれない。

  一見して岩片や砂が大量に入っていることがわかる。赤茶けた砂のせいで全体に赤黒く見えるのがこの石灰岩の特徴の一つである。他の産地のものは、一般に青みがかかった灰白色(セメントの色)である。また、この岩片や砂は色や形から見て火山岩の破片や火山砂と思われる。

 白っぽい貝殻のような色調のものが見えるが、川を流れてくるときにあちこちにぶつかってできた無数の白い跡のため、はっきりしない。そこで、水で濡らしてみると、画像下のような模様が浮き出してきた。

 

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 貝殻やサンゴの破片と思われるものがぎっしりと詰まっている。元の形が残っているのは、堆積したのが1500万年前と比較的新しいからである。この中に有孔虫の化石が含まれていて、化石編年からできた年代が特定された。ごくまれにオウムガイや熱帯特産の貝の化石が入っているとのことだが、残念ながらこの石では形がはっきりした化石は認められなかった。

 学生のころ沖縄の離島で見た、サンゴの破片でできた白い海岸を思い出した。火山の爆発でサンゴ礁に噴出物が降り積もる図は、何ともロマンに満ちたイメージである。