JR相模原駅から南西方向に向かうと、まっ平らな相模原台地の広さを実感する。途中2回、30mほどの急坂(相模川の段丘崖)を下ると相模川の河川敷である。段丘の下は相模川によって掘り下げられた基盤となる地層で、関東ローム層などの新しい地層に覆われているが、一部露出している。この化石は河川敷で見られる一番下(=一番古い)の地層に入っていたものだ。
この付近の地層は中津層群と呼ばれる新生代第三~第四紀(290-190万年前)の地層だ。近くに小仏層群(1億~6600万年前)か相模湖層群(4500~2300万年前)と思われる硬い砂岩の崖があり、かなりの時間が空いてその上に堆積したものだ。陸から流れ込んだ化石から見て「陸の影響を受けた浅い海」のものとされている。
地層は青っぽい砂泥からなっており、完全に硬くなっていないため、乾燥するとボロボロになる。崩れた崖石を割っていると、白い貝殻や黒茶色の植物遺体の小さな破片が現れる。画像は辛うじて形がわかる木の葉の化石2種である。化石の上下は3㎝ぐらい。
右側は表面のクチクラ層が縮んでシワが寄っており、現生の植物としてはシラカシに似ている。一方、左側は薄い感じで平行な葉脈からケヤキなどニレ科の特徴がある。どちらも大木になる木であり、生えていた当時、後背の陸地はこれらの鬱蒼とした樹林になっていたのであろう。その莫大な量の落ち葉のうちの2枚である。