これまで紹介した石の花と比べると全く地味だが、近場でも特徴的な色をした石が取れる。
画像に示したのは含セラドン石火山礫凝灰岩(かざんれきぎょうかいがん)という石である。神奈川県の東丹沢で特徴的な石といえばこれである。小田急本厚木駅からバスで北へ30分ぐらい行くと七沢温泉というこぢんまりとした温泉郷があり、その付近で沢に入れば普通に拾える。柔らかくて加工がしやすいため昔から「七沢石」という名前で石材として利用されてきたそうである。
丹沢の凝灰岩は様々な火山噴出物の粒や火山礫が集まった堆積岩である。白っぽい粒が斑晶のような感じだ。私も最初は風化した火成岩かと思ったくらいであまりパッとした印象はない。しかし暗い色のツブツブの地に青緑色の部分があることが見て取れると思う。
この青緑色の鉱物はセラドン石(セラドナイト)というものである。火山の噴出物が海水中の成分と反応して変成したものだ。感触は泥や砂の塊のようだが、探すとそれなりにきれいなものが見つかる。なお、セラドンという名については堀秀道先生の図鑑に面白いエピソードが書かれている。
この鉱物が含まれるということは、その地層が海底火山により生成したものであることの証拠になる。つまり丹沢は超過去(1500万年前)には、最近噴火した西ノ島新島みたいなものだったわけである。奥丹沢には、海中に噴出した溶岩(枕状溶岩)の露頭があるそうである。さらなる証拠だ。一度見に行きたいと思っている。