植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

雪の日の翌日

 

先週、雪が降った日の翌日。暖かい陽が差して雪はかなり溶けた。いつもの街中の川沿いに歩いていると、見慣れない小鳥が飛んできた。大きさはスズメくらい。少し緑がかかった薄茶色で尾がオレンジ色の丸っこい鳥である。初めて見るものだ。低く飛んで木から木へと渡っていく。追いかけて何枚も写真を撮った。

 

面白いことに、同じ日に何キロも離れた別の住宅地の公園でも同じ種類の鳥を見た。その時は「ヒッヒッ」か「キッキッ」と聞こえる電子音のような鳴き声を立てていた。

 

目が大きくて丸く、周りが白いリングになっていて、熊本の「くまモン」的な愛嬌がある。ところがこれが何者かわからない。色々調べたが一致するものがいない。雪を降らした低気圧に付いてきた南方の迷鳥か?‥しばらく放っておいた。

 

その後、図鑑を眺めていたら小さく写真があり、やっと正体がジョウビタキのメスとわかった。そんなに珍しい鳥ではない。派手なオスに比べるとすごく地味。共通するのは両側の羽根の真ん中にある白点だが、上の画像では木の枝で隠れている。わからないはずだ。羽根の白点が見える画像を下に示す。暗い木の中にとまったので逆光になってしまった、次はちゃんと撮りたいと思う。

 

 

カンツバキにメジロが来る

街中を歩くと民家の庭などでカンツバキが咲いている。盛りは過ぎているが厳寒の今頃には貴重な彩(いろどり)である。そこにスズメより小さな鳥が飛んできた。目の周りが白いのでメジロのようだ。画像の左下に写っている(下に拡大図)。

 

メジロ科。頭から羽根が黄緑色で喉から体の下側は黄色である。見た目はウグイスによく似ている。留鳥で、年間を通じて街中でもよく見かける。今頃ウメやカンツバキの花に来るのは蜜を吸うため。花粉を運ぶので授粉にも一役買っている。夏場は虫も食べている。

 

目で追っても葉と紛れてすぐ見失ってしまう。非常に敏捷に動き回り、高速で飛び去る。今回も慌ててカメラを取り出してシャッターを切ったのでピンボケになってしまった。来る木がわかったので、次こそはちゃんと撮りたいと思っている。

 

なおカンツバキは「ツバキ」という名前だが、冬に咲くサザンカの仲間である。本物のヤブツバキは近場では初春の花で、今はまだつぼみが膨らんだぐらいだ。

 

ムクドリ

川沿いに多く生えているトウネズミモチの実がなくなっている。ムクドリの群れが食べてしまったようだ。画像では刈り取られた田んぼの落穂をつついているところだ。

 

ムクドリ科。住宅地などに普通に見られる鳥だ。大きさは隣にいるスズメと比べて分かるように25㎝ぐらい。全身灰黒色で、クチバシと足がオレンジ色で目立つ。顔のあたりが白っぽく、まだら模様になってものもいる。

 

ムクノキ(椋木)の実を好み集まることが名前の由来である。夏場は虫を食べてくれるが、人家の近くで群れているため鳴き声やフン害で迷惑視される。下の画像は葉の落ちた木に並んでいるところ。枝が複雑に絡んでおりねぐらとして安全なのだろう。

 

道すがらあちこちで咲いていたウメの花。冬枯れの風景の中で甘い香りを放っていた。

水辺の鳥2024(その2)

ツグミ(画像上)

川岸に赤茶色の鳥が見えた。大きさはムクドリぐらいか。画像を見るとくっきりしたモザイクのような羽根だ。派手な模様なのに周囲にまぎれてしまう。名前は聞いたことがあったが見るのは初めてである。ヒタキ科。中国中南部やロシア東部から冬越しでやってくる冬鳥。昔はたくさんいたが今は減ってしまっている。

 

ダイサギ(画像下)

シラサギには大中小がある。いつもの街中の川ではコサギ(小鷺)は時々見るが、ダイサギ(大鷺)は来たことがない。身体が大きいだけに広い環境が必要なようだ。この川は幅と深さがあって小魚が多いので住みやすいのだろう。黄色のクチバシと、眼の前の青い模様が目の後ろまで伸びているのが特徴だ。なお、チュウサギ(中鷺)は数が少ない。

 

オカヨシガモカップ

オス(手前)は頭が茶色で羽根が灰色と黒というシックな装いのガンカモ類だ。メスは例によって一緒にいないと種類がわからない。

 

ヒドリガモカップ

オスの頭は赤茶色で額から頭頂にかけて黄色いのが目立つ。羽根は灰色から黒のグラデーションである。首がやや短い。目の周りがメイクをしたようで優しい感じに見える。

 

キセキレイ

動きが素早く、飛ぶと黄色い何かがひらめく感じ。好きな鳥だ。

オオバンの若鳥

 

横浜市郊外の川沿いを歩いていた時目についた真っ黒な鳥。岸の茂みの中に半分隠れてごそごそ動いていた。オオバンかと思ったが目立つ白いクチバシと額(ひたい)の丸い板状のもの(額板)がない。カラスにしては小さいし、体形が丸っこい。カワガラスという丸い種類がいるが、クチバシの形などが違う。

 

図鑑やネットで調べた結果、オオバンの若鳥という結論に達した。未成熟のため額板が大きくなっておらず、白くなってもいないようだ。クチバシは黄色く額に近い部分は赤黒い。文字通りクチバシの黄色い若造というわけだ。ちなみに類縁のバンの若鳥はやはりクチバシが赤くなく全体に羽根色が薄いなど特徴が異なる。

 

鳥は性別や季節によって羽根模様が変わるし、生育ステージによっても外見が大きく変化する。光線の関係で違って見えるものまである。鳥を追っかけ始めたころは戸惑うばかりだったが、今は面白いと感じている。

 

下の画像はオオバンの成鳥のペア。この川には多い。オスメスで色の違いはないが、いつも2羽でいるものが多いのでおそらくカップルと思われる。独特の美しさを持つ鳥だと思う。

 

ドバトの群れ

横浜市郊外。田園地帯で建物はないが、すぐ近くは延々続く住宅地だ。川沿いの道を歩いていると、鳥の大群に出会った。よく見るとハトである。幹線道路が交錯し車通りも多い場所で、その上を百羽以上の塊が3つ、渦を巻くように大きく旋回している、なかなか壮観だ。

 

伝書鳩として導入されたヨーロッパ・中東種のカワラバトが野生化したもので、ドバト(土鳩)と呼ばれる。いわゆる普通のハトで、街中など至る所で見られる。羽根色は様々だが、原種に近いものは灰黒色の羽根で首に緑色と紫色の光沢がある。大きな群れで暮らすのが特徴だ。在来種のキジバトは単独でいるか、せいぜい数羽しか群れをつくらない。

 

下の画像は、一斉に電線にとまったところである。画面の両側にも続いており、すごい数に圧倒される。なぜこんな場所で群れているのだろう。良く分からないが、天敵のタカなどがおらず安全だし、近くに稲束が干してあった形跡があり食物も関係してそうだ。それに人家から離れていればカラスのように人に嫌われることもないだろう。

 

バン(野鳥)

先日カワセミなど様々な鳥を見かけた横浜市の北部を流れる川。都市部を抜けると数キロにわたって田園地帯を通っている。護岸はコンクリートながらその一部や土砂がたまった中州などに木が生えており、意外に自然豊かな環境である。空気が澄み切った冬景色の中、望遠カメラを抱えて下流に2時間ほど歩いた。

 

カルガモとサギ類が多い中に、渡り鳥(冬鳥)のカモ類がみられた。真っ黒で額が白いオオバン(鳥)もたくさんいたが、図鑑にあるバンが見当たらない。そう思いながら少し歩くと岸の茂みから素早く水面に飛び出したものがいる。オオバンより小型で、近づくと赤い額(ひたい)が見えた。バンに間違いない。

 

水から顔を上げたところでしずくが垂れている。資料では真っ黒に見えるものが多いのだが、今回は光線の関係か色彩豊かに写っている。頭から首は青紫がかった灰色。羽根は濃い茶色で腹部に数本の白いスジがある。クチバシと額(額板という)は鮮やかな赤色で先端は黄色をしている。長めの脚は黄緑色だ。面白い色の取り合わせである。

 

眼も赤くてキツイ表情に見える。実際気が荒く、縄張りに同種が入ると激しく追い払うそうである。

 

クイナ科で全国の湖沼や河川、田園などに分布する。関東地方では渡りをしない留鳥だ。変わった名前の由来は「田んぼの(見張り)番」から。「鷭」という漢字があてられている。