植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

アメリカフウロの実

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黒光りする角ばった釘のようなものが多数突き出し、根元が膨らんで5つの房になっている。よく全体が真っ黒になっており、道路脇の草地などでこれを見かけると一瞬異様なものを感じる。ウニ?、フェンシングの刀のようにも見える。この画像では写っていないが、枯れかけた葉は紅葉して赤色やオレンジ色を呈する。

 

アメリカ原産の帰化植物。草丈30-40㎝のありふれた雑草である。ゲンノショウコと近縁のフウロソウ科。春先から目立たない花を付け続け、今頃はこんな奇怪な姿に変わっている。

 

花については以前紹介したことがある(2019-04-13)。5弁の小さな花で、薄紅色に紫のスジがある。花後に雌シベが伸びて角張った釘のように変化する。根元のふくらみには種が入っている。この釘は乾燥すると裂けてパチンと弾け、種を飛ばすバネのような働きをする。

ヤブジラミの花と実

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これは半月ほど前の画像。まだ花が残っていた。径3-4㎜でよく見ないとわからないが、結構凝った形なのを示したくてこれにした。5弁の花びらは大きく波打ち10弁に見えるものもある。花の下の子房は毛が多く、一気に膨らんでトゲトゲになる。

 

今は小さなトゲが目立つ実がビッシリ着いている。長径5㎜ぐらい。シラミの実物は見たことはないが、良いイメージではない。いわゆる「引っ付き虫」で服について迷惑なせいだ。赤みがかかっており昆虫の幼虫と言われると信じてしまいそうだ。

 

セリ科の草花は皆ごく小さな白い花で、葉の特徴も似ている。そのため画像からだけでは識別が非常に難しい。以前紹介したセントウソウ(2021-04-28)はそっくりで、今となっては確信が持てなくなっている。花が小さすぎて花弁の形が確認できなかった。今頃の林縁に多いヤブジラミと違って、まだ肌寒い頃に山の中の木陰で草むらを作っており、この特徴的な実もなかったのは覚えているが…。またヤブニンジンも同じタイプでよく似ているが、特徴的な花序と実の形が異なり違うとわかる。

ケムリノキ

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ハンカチやブラシの木は知っている。実物を見るとなるほどと思う。ケムリの木というものもあることは知っていた。街中でそれらしきモヤモヤした花(?)を付けた木を見ることも多い。最近郊外を歩いていて、民家の庭からちょうど目の高さに花穂が出ているものに出会った。

 

ケムリノキ(煙の木)はウルシ科の低木で、南ヨーロッパからヒマラヤ、中国にかけて分布する外来の園芸植物だ。雄木と雌木があり径3-5㎜の極小の花を咲かせる。画像ではケバ立ったピンクの毛糸のように見えるものは、雌木の雌花が終わった後、または不稔花(実が付かなかった花)の花柄(花の付く茎)で、長く伸びて毛が多い。所々に小さい茶色の実(種)が見える。これが遠目には全体が煙のように見えるわけである。

 

別名ハグマノキ。ハグマ(白熊)とは中国産のヤクという動物の毛のこと。触ると感触がよさそうだが、ウルシの仲間なのでやめた方が良いと思う。

カルガモの親子

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もうおなじみだが可愛いものはカワイイ。コガモはお尻のあたりにある白点がチャームポイントだ。みな違う方向に泳ぎまわっている。それを見守るハハガモは背筋が伸びており、慈愛に満ちたまなざしにはちょっと感動してしまった。

 

カルガモは全体に黒っぽい灰褐色で、顔から腹にかけて色が薄くなり斑点模様がある。くちばしの先の方だけ黄色いのも他の種類にない特徴だ。

 

渡りをしないいわゆる留鳥で、水辺の草や昆虫を食べている。今頃子育てをする。卵は一度に10-12個生むが、天敵も色々いて減ってしまう。画像ではコガモは5羽写っている。実は画面外に離れてヤンチャがもう1羽いる。お母さんは苦労が絶えないようだ。

スイレンの花

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睡蓮と書くと、眠ったようなけだるい午後の蓮(はす)の花のイメージが浮かぶ。同時に湿り気を帯びた暖かい空気と、とろんと濁った池の水面の雰囲気も感じる。

 

ある住宅地の中の公園の池でもう睡蓮が咲いていた。目を奪われるようなピンクのグラデーションの花びらと金色の雄シベは何とも美しい。

 

スイレン科の水草。蓮とよく似ているが蓮はハス科なので系統が違う。熱帯から亜熱帯のアジアが原産地である。日本には数少ない温帯性のヒツジグサという種類が自生する。白い花で未の刻(午後2時ごろ)に開花するためその名がある。

 

フランスの印象派の画家モネの睡蓮連作は有名だが、昔から欧米で多数の園芸品種が作り出されて世界中に広がっている。

 

完璧な花と異なり、ツヤがある葉はデリケートにできているのか、枯れて黄色に変色したものや、傷がついたものが多い。色も茶色がかかってモスグリーン系だ。モネの「睡蓮」で水面の色調が茶色っぽくくすんでいるのはそのせいかと思われる。

トウバナ

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これも目立たない小さな花。果樹園の木の根元で他の草に覆われそうになりながら咲いていた。野の花に興味を持つようになり、多摩丘陵を歩くようになって数年経つ。だんだん見えてきた景色だ。

 

一見してシソ科とわかるカタチだ。草丈は10㎝ぐらいで小柄。花はガクを含めて5~6㎜で、拡大すると紅色を帯びた極小の花びらが可愛らしい。

 

名前は輪状で段になって咲く花序の形から、五重塔の「塔花」である。この型の花序を持つ植物はホトケノザなどシソ科に多いが、一番小さいのではないか。それで「塔」とは面白い。いや、今の時期は小さいが、意外と日向では大きくなるタイプかもしれない。

キブシの実

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今日は走り梅雨のような天候で、丘陵地の雑木林の緑の葉もしっとりと落ち着いている。エゴノキやウツギなどの白い木の花は盛りを過ぎ、今はスイカズラの白と黄色の花が甘い香りを漂わせている。

 

ふと見ると目の前の木の葉陰に、緑の実の房(10㎝ぐらい)が多数ぶら下がっている。葉は楕円形で先が尖り、周りのギザギザ(鋸歯)が大きく独特の風合いがある。なんとなく予想が付いたが、後で調べるとやはりキブシの実であった。春先3月に小さな薄黄色の丸い花を多数付けた花房(はなぶさ)が木全体に垂れ下がる。まだ木の芽もあまり出ていない頃なので良く目立つ。いつの間にかこんな実になっていた。実の付き方が花の付き方と印象が同じなのには少し笑ってしまう。

 

キブシ科というから、他の科と異なる特徴を持っている。小さなレモンのような形をした実は熟すと黄褐色に変わる。実が染物に使われる五倍子(ふし、ヌルデの虫こぶ)の代わりに使われたことが、キブシ(木五倍子)の名前の基になった。