今日は走り梅雨のような天候で、丘陵地の雑木林の緑の葉もしっとりと落ち着いている。エゴノキやウツギなどの白い木の花は盛りを過ぎ、今はスイカズラの白と黄色の花が甘い香りを漂わせている。
ふと見ると目の前の木の葉陰に、緑の実の房(10㎝ぐらい)が多数ぶら下がっている。葉は楕円形で先が尖り、周りのギザギザ(鋸歯)が大きく独特の風合いがある。なんとなく予想が付いたが、後で調べるとやはりキブシの実であった。春先3月に小さな薄黄色の丸い花を多数付けた花房(はなぶさ)が木全体に垂れ下がる。まだ木の芽もあまり出ていない頃なので良く目立つ。いつの間にかこんな実になっていた。実の付き方が花の付き方と印象が同じなのには少し笑ってしまう。
キブシ科というから、他の科と異なる特徴を持っている。小さなレモンのような形をした実は熟すと黄褐色に変わる。実が染物に使われる五倍子(ふし、ヌルデの虫こぶ)の代わりに使われたことが、キブシ(木五倍子)の名前の基になった。