谷間を歩いていて雑木林の林縁で見つけた。キク科アザミの仲間である。花は径4㎝ぐらいある樽(たる)型。近づくと赤紫色のトゲだらけで異様な感じがする。普通のアザミの総苞(そうほう、花全体を包むガク)を大型化したような形だ。倒れているが草丈は1ⅿ以上ありそうだ。
奇妙な名前は漢字で「雄山火口」と書く。大きな葉の裏にフェルト状の細かい毛があり、昔着火用の「火口」(ほくち)に使われた。火打石を叩いて出る火花を火口に移して火種にするのである。さらに「山」に生えていて、全体に大型でゴツイ感じから「雄」と表現された。呼んでいるうちにボクチと訛ったらしい。
日本在来種。本州、北海道の山地の林縁で見られる。花期は9-11月。こういうものに出会えると嬉しい。