今頃の多摩丘陵、林縁や田畑の近くの木陰で咲いている草の花はほぼこれだ。春の野草は花期を終えて種を付け、枯れ始めている。一方夏草が急に伸びてきた。
ホタルブクロが目立っている。ちょうどホタルの飛びだす時期と一致するのが面白い。沢山ある花を見ていくと、色合いが一株ごとに微妙に違っていることが分かる。キキョウ科独特の渋い紫色である。この色もホタルの光を思わせる。花びらは和紙で作ったような風合いで、花の筋が折り目のように見える。ホタルを入れる袋とはよく言ったものである。
ドクダミは5,6月ずっと咲いている。市街地でも半日陰の湿気のあるところに群生しており、今の時期以外にもよく見かける。外来種ではないのだが、繁殖力が強烈で、丘陵地の湿地などに入り込むと他の希少な植物を追い出してしまう困りものである。種類が違うのかもしれないが、乾燥した丘陵地のものはずっと小柄で花もすぐ終わってしまうような印象がある。