三浦半島の荒崎(あらさき)近くの海岸。訪れたのは10日前でまだ風は肌寒く、海辺の植物はほとんど枯れていて、咲いているのはこの花だけだった。いたるところで見られる。花期は3月~5月。名前の通り葉も花も野菜のダイコン(花期は4、5月)によく似ている。
十文字の花は整った形ではないがそれも素朴な感じでよい。花びらの先が赤紫で中心に向かってグラデーションになっている。この淡い色合いが、のどかな早春の海岸によく似合う。
アブラナ科。主根をまっすぐ伸ばすがあまり太くならない。栽培種のダイコンが逃げ出して野生化したものと言われているが、古くダイコンとともに日本に伝わった野生種の末裔らしい。海の近くは普通の植物が生えず、海浜植物という独特の一群がみられる。強烈な日差しや強風と、塩分という過酷な環境に適応したものだ。