いつもの川。浅瀬でコガモたちが何かを食べている。コガモのような水に潜らないタイプのカモの食事法は独特だ。クチバシの先端を細かく震わせて藻などをこそげ取り、水と一緒に吸い込む。クチバシは側面が櫛(くし)状になっていて水だけ濾して流し、固形物を飲み込む。確かにそうしているように見える。
では何を食べているのだろう?図鑑では植物食で、水草や草の種を食べているとのことだが、この川では水中に藻(も)や水草は見当たらず、冬場はアシなどの草も枯れている。
改めて観察してみると、川底が灰色に近いモスグリーンの水垢(あか)かコケのようなもので覆われている。所々削り取られており、どうやらこれを食べているようだ。暖かくなって緑色になってきているが、アオミドロのような繊維状の藻も見えない。調べてみると、珪藻(けいそう)や藍藻といった微細な藻類(植物プランクトン)の塊のようである。
冬の間はずっと同じ食事だった。微細な藻類でもクロレラやミドリムシは栄養豊富という。コガモたちがそんな粗食でも元気に動き回っていることには感心してしまう。