11月に入りノギクなどを除き野山は寂しくなった。ナラ枯れのせいか今年は紅葉もパッとしない。珍しい種類の植物出会えるかと東京都立薬用植物園(東大和市)を訪ねてみた。入場するとすぐのところにサフランの大きなポットがあった。
早春の花壇でよく見るクロッカスの仲間である。違いは秋(10-11月)咲きであることと、薄紫一色であること。さらに雌シベが長く、芳香を持つことなどである。夏(8-9月)に咲く似た花があるがサフランモドキと呼ばれる別種だ。
アヤメ科の球根植物。小アジアや地中海地方原産。古くから知られており、エキゾチックな響きのある名前は古代ペルシャ語に由来すると言われる。草丈は15㎝ぐらいと小柄だが花は大きい。細い松葉のような葉は花後に更に伸びる。花は薄紫色に紫の筋が入り中央に黄色い雄シベが目立つ。垂れている赤いヒモのようなものは雌シベで、3本ある。黄色い色素を含み、スペイン料理のパエリアなどに色と独特の風味を着けるのに使用される。薬用にも使われ、乾燥するとほとんど重さがなくなるため貴重で、高価で取引される。