今の時期道路沿いやちょっとした空き地はイネ科の雑草が旺盛に繁茂し、花盛りである。ただし花は花びらのない緑色の地味なものだ。何種類かあるようだが、漫然と見ていても区別がつかない。葉は細長く平行の葉脈で、はっきり言って皆同じだ。しかしいまだに区別ができないのも残念だ。というわけで代表的なものを調べてみた。
イヌムギ(犬麦、画像上)
近場では一番多いかもしれない。草丈は70-80㎝で穂の先が垂れる。南米原産で明治の初め頃牧草として渡来。その後野生化して、現在は道端などにごく普通に見られる。
特徴は花穂が5.6個の大きな楕円形の小穂(しょうすい)からなっていること。小穂は先がとがり、長さ2-3㎝。鱗片が重なっているように見える。鱗片の1個ずつが小花である。開花すると隙間から黄色い雄シベを出す。
カラスムギ(烏麦)
これも多い。イヌムギとほぼ同じ大きさで、混じって生えていることもある。ヨーロッパ~西アジア原産で古い(史前)帰化植物。役に立たないという意味でカラスという名前がついているが、これから育成された栽培種のマカラスムギ(オートムギ)はオートミールなど食用にされる。
小穂は2㎝ぐらいで、2個の大きな鞘(苞穎、ほうえい)が下向きにつく。これが3個の小花を包み、そのうち2個の先端から長いトゲ(芒、のぎ)が伸びる。
ネズミムギ(鼠麦)
ヨーロッパ原産の牧草。道端でよく見かける。穂の長さは15-30㎝で、多数の小穂が付く。苞穎は一つで短いノギがある。繁殖力が強く、花粉症の原因にもなるので、要注意外来生物に指定されている。
カモジグサ
北海道から沖縄まで分布。道端に普通に生えている。草丈は80㎝ぐらい。大きめの小穂を付けた花穂がアーチ状に垂れる。小穂には紫色の長いノギがある。カモジとは付け毛の古語で、昔人形のカモジを編んで遊んだからだそうである。