近場でよく見かけるシダ。場所は丘陵地の雑木林の中で、古いコンクリートの石垣の隙間から多数葉が出ていた。小葉に切れ込みがなく、大きさが先端まであまり変わらない単純な形(1回羽状複葉)である。その点で似たものが他にほとんどなく、シンプルなところがかえって特徴になっている。(周辺の細い葉はイノモトソウ)
オシダ科。本州から九州の林内に普通。いくつかの亜種が知られている。画像のものは黄緑色の葉にツヤがほとんどなく、小葉の下部に三角形の出っ張りがあるので、ヤマヤブソテツという種類だと思う。ソーラス(胞子嚢群)は全体に散らばっており、胞子嚢には円形で白っぽい包膜が付いている。
ヤブ(藪)の中のソテツ(蘇鉄)というのが名前の由来だが、裸子植物のソテツにはあまり似ているようには思えない。
下の画像は、石垣のすぐ近くに生えていたもので、同じような特徴を持つ。濃い緑の葉の光沢が強く、小葉に出っ張りがないことなどからオニヤブソテツという種類だ。こちらの方は街中の家裏や日陰の石垣など身近な場所に多いようである。