植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

シダの名前

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シダについては、これまで紹介してきた特徴のある(シダらしくない)ものを除いて、私にはほとんど見分けがつかない。花を持たないのと陰気な印象なので敬遠していたためだ。ところが図書館やネットではシダ植物に関する情報はたくさんある。近場で最も身近な植物の一つなのに名前が分からないのも残念だ。

 

北川淑子著「シダハンドブック」によると、見分けるポイントはごく大雑把に言って、1)まず葉の形。葉の構造は鳥の羽のような形の大中小の繰り返しである。切れ込みの無いものや軸まで達しないものを単葉。切れ込みが軸まで達して小葉が魚の骨のように並んだものを1回羽状葉という。さらに小葉が同じように切れ込んだものが2回羽状葉で、3回羽状葉まである。2)シダは胞子で増えるので花の代わりに胞子嚢(のう)が付いている。並んだ胞子嚢の集まりをソーラス(胞子嚢群)という。これが種類によって形や並び方が異なる。3)胞子嚢を覆う膜のようなものを包膜というが、これも種類によって特徴が異なる。などなど。

 

さて冒頭の画像のシダは雑木林の中の暗い小路沿いに生えていたものだ。試しに調べてみた。葉のタイプは2回羽状で、「普通のシダ」という感じ。ハンドブックによると似たものが5,6種類ある。見た目もそっくりなのは3種類。オクマワラビ、ベニシダ、ヤマイタチシダだ。どれも林内や街中に普通、とある。裏返すとソーラスは茶色い胞子嚢がチドリで2列に並んでいる。これは前2者が同じ。オクマワラビの胞子嚢は葉の上半分にしか付いていないとのことなので、とりあえずベニシダとした。あと一番下の小葉(羽片)の根元の小羽片が短いことも特徴だ。

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オシダ科。春に出る新葉に赤(紅)みがかかり、若いソーラスも紅色をしているためこの名がある。まだ自信がないので、来年もう一度見に来ようと思っている。

 

下はベニシダに混じって1株だけあった少し見た感じの違うシダ。裏返すと胞子嚢とソーラスの形が違い、大きな包膜がついている。これらの特徴から同じオシダ科のヤマイタチ(山鼬)シダとした。葉軸に付いた黒い鱗片が動物のイタチを思わせるからとのこと。もう一度表を見ると、一番下の羽片の根元の小羽片が目立って大きい。これもベニシダとの差異だ。

 

…名前が分かると少し面白くなってきた。

 

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