今年の夏、街中でやたら見た白い花シンテッポウユリの花ガラである。場所は駅構内の線路で、手前は砂利だ。いまだに長い花柄の先にガクが残っている。冬至過ぎの弱い陽光を浴びて淡く光っており、別種の花のようだ。
在来種のテッポウユリと台湾原産のタカサゴユリの交配による園芸種で、花壇から逃げ出して急速に野生化している。ヤマユリは種から花を咲かせるまで5年もかかるとされているが、このユリは1年で花を咲かせる。増えるわけである。また、種にギョウザのハネのような翼(よく)がついていて風に舞う。線路際に多いのは電車の起こす風で運ばれたのだろう。
一緒に写っているのは枯れたススキとセイタカアワダチソウだ。電車の風で線路沿いを種が運ばれた先輩だが、取って代わられつつある。明治の昔は北米原産のヒメムカシヨモギなどが同じように広がり「鉄道草」と呼ばれていたそうだ。今でもポツンポツンと線路内で見かける。