2年ぶりに故郷の関西に帰り墓参りをしてきた。山の上の墓苑なので、周囲にあまり人の手の入っていない雑木林がある。足元にドングリが落ちていたので見上げるとこの木があった。巨木である。そういえば子供の頃拾って遊んだのはこの種類の木だった。
関西でカシノキといえばこのアラカシ(荒樫)である。独特のツヤのある葉が緩く波打ち、やや粗い鋸歯(きょし、葉の周りのギザギザ)が目立つ。この特徴が名前の由来だ。実(み)はごく普通のドングリだ。
今住んでいる南関東ではシラカシ(白樫)が主のため、関東地方出身の方は、これがカシノキと言われると少し奇異な印象を受けるのではないかと思う。シラカシは葉が一回り小さく鋸歯が目立たない。葉の裏が白っぽく、幹もきめが細かくて暗い林の中では白く見える。一方、近場ではアラカシは家の周りに防風林のように並んで植栽されているのを見ることが多く、巨木は見たことがない。
墓掃除をしながら、子供の頃父と近くを歩いたことを思い出した。その時の楽しさと共に、アラカシのドングリや葉の感触が蘇ってきた。