朝はまだ寒いが、晴れると四月並の暖かさになる日々である。何かの花に出会えないかなと思い、相模川の河川敷に行ってみた。大きな川は様々な植物の種を運んでくる。そのためしばしば意外な出会いがある。ただ過酷な環境なので、園芸種は定着しないようだ。
小田急厚木駅を降りて河川敷に向かう。途中の民家の庭はもう赤やピンクのハナモモが満開になっている。河岸はグラウンドにでもするのか工事中で殺風景だ。それでも護岸堤防にはツクシがスギナと一緒に一斉に伸びていた。川向うに丹沢山地の大山が眺められて清々しい。
やがて公園になっている一角にたどり着いた。きれいに手入れされている。河川敷の植物は芽吹いているが、まだ目新しいものはない。ふと見ると向こうに花をいっぱい付けた大木がある。姿形はサクラのようだ。ただ全体に白い。
行ってみるとオオシマザクラだった。大ぶりの花で、甘い香りがある。ややあか抜けしない感じ。ツボミは紅色がかかっているが、開くと純白になる。一緒に出る葉も黄緑色なので、全体に白っぽく感じるようだ。
頑健で成長が早く、最近は公園で植えられているものをよく見かける。伊豆大島などに多い日本固有種で、園芸種ソメイヨシノの父親であることが知られている。現在三分咲きぐらいのソメイヨシノは、同一クローンなので同じ環境なら一斉に咲く。だが、何本かあるオオシマザクラは満開の木とまだツボミのものが混じっているのが面白い。