いつもの街中の川沿いの道。8月から植物をずっと観察しているが、様子が一番変化したのはこのヨモギではないか。最初は濃緑の葉が茂っているだけだったが、薄緑の花穂を出し始めて株が大きく膨らんだ。花穂の先が曲がって垂れたと思ったらツボミが目立ち始めた。草丈も30-40㎝だったものが伸びて今は1m近くになっている。
無数に付いた小さなツボミは径1.5㎜、長さ3-4㎜の米粒のような形をしている。しばらく変化がなかったが少しずつ色が変わってきた。よく見ると先端から白い糸のようなものが数多く出て中心に赤紫のものが見える。ついに開花し始めたようだ。
調べると、糸のようなものは雌シベの柱頭(ちゅうとう、花粉を受ける部分)で、雌シベ1個につき2本ずつ。つまりこのツボミはいくつかの雌花(単性花)の集まりである。中心に見えているもの赤紫の雄花に囲まれた雌花(両性花)だ。なお、ツボミを包む鱗のような形のガクも、この場合複数の花を包むので総苞(そうほう)という。
花の様子はさらに変化し、先に雄花が成熟して花粉を出す。上の画像では、黄色い花粉が出ている。(花粉症の原因。困ったものだ。)後で雌シベが成熟して受粉し、種ができる。こんな小さなものの中で色々なことが行われていることに驚く。
ヨモギは日本在来種のキク科植物。アメリカ由来の帰化雑草が幅を利かせるなかで逞しく育っている。むやみに群落を作らないのは、綿毛の付いた種を飛ばさないためだろうか。