新しく造成された宅地の草むらの中に白いユリが顔を出していた。テッポウユリに似ているが花の根元に紫がかった茶色のスジがある。花期もテッポウユリの6月に対して8月頃である。両者は交配が容易で、ほぼ純白で大柄の園芸品種はシンテッポウユリと呼ばれる。近場で今咲いているものは、微妙に特徴が異なるこれらの自然交配種が多いようだ。
台湾や沖縄に自生しており、昔の台湾の呼称である高砂(タカサゴ)の名がついた。テッポウユリは花びらがくっついて筒状になっているのを鉄砲に例えたものだ。
花後はこん棒のような形の実ができる。中に種が詰まっており、乾燥すると裂けて飛び出す。種には円盤状の翼がついていて風に飛ばされて広がっていく。そのため道路沿いや鉄道線路の法面などにポツポツ咲いているのを見かける。もともとは民家の庭から逃げ出したものだろう。ヤマユリなどは種から開花まで4,5年かかるのに対しタカサゴユリは成長が早く1,2年で花が咲く。新造成地で開花していたのは、球根が紛れ込んだのではなく、種が飛んできたのだろう。