多摩丘陵も新緑の季節になった。落葉樹林の中では木々の葉が広がって薄暗くなる直前に地表(林床)で一気に葉を伸ばし、花を咲かせる種類の植物がある。カタクリやニリンソウなどは有名であるが、ここに挙げたチゴユリもそうだ。
林床の一部が鮮やかな緑色に覆われていた。よく見ると高さ15㎝ぐらいの単一の草むらであった。茎の先に花を付けていたが下向きなので葉の陰になり分かりにくい。
1㎝ぐらいのごく小さな花で、可愛らしいということで稚児(ちご)百合と名付けられたが、ユリ科ではなくイヌサフラン科とのこと。花も葉も鋭角的なシルエットを持ち、色紙を折ったような質感である。稚児が遊ぶ千代紙細工だ。うまい命名だと思う。