植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

タマノカンアオイの花

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 以前紹介した多摩丘陵の固有種である。多年草で春に新しい葉が出た後、根元に少し不気味な感じのする花を付ける。三つに裂けたガク片には円口類ヤツメウナギの仲間)の口みたいな穴があり、紫がかった茶色でヌメッとしたツヤがある。形も色もちょっと水棲生物を思わせる。

 しかし毒があるわけでも悪臭がするわけでもない。見慣れてくると普通の植物にない奇想天外な特徴に魅力を感じる。類縁の種類には、春の女神ギフチョウの食草や、徳川の葵の紋に関係している由緒正しいものもある。ネットで調べると画像が多数出てくるので、カンアオイ類に魅せられた人は多いのだろう。

 地味と言ったらこんな地味な植物はない。ようやく見つけた葉をソッとどけて根元の落ち葉を除くと土に埋もれたような形で咲いているのがわかる。撮影した後、落ち葉を戻すともうどこにあったかわからない。ずっと残っていてくれよと思う。