今の時期は葉の周りが枯れて白い隈取(くまどり)ができる。この隈(くま)が名の由来である。日本的な風情と清潔感を感じる植物だ。画像は公園に植えられていたもの。独特の外観が風景として期待されているのであろう。
近場の関東地方ではササといえばネザサと呼ばれる小型の種類が普通であり、クマザサの自生は見たことがない。私の故郷の関西では、山でクマザサの藪をかき分けた経験がある。そのため熊が出そうなところに生えているから熊笹かと思っていた。また、クマザサの葉は大型で20センチメートル以上になり、その点でもゴツイ熊のイメージである。
ネザサは放っておくと雑木林の地面を覆い、林床の他の植物を駆逐してしまう。自然公園などでは、笹薮を定期的に刈ることでかつての植生が戻ってきたところがあるそうである。クマザサも公園を逃げ出して野生化しないことを祈る。