植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ムサシノキスゲ

 

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 昨年いただいたコメントに、高原のキスゲ群落のすばらしさの話があった。それ以来、黄金(きん)色のユリにあこがれていた。いろいろ調べたところ、近場(ちかば)にムサシノキスゲという種類のユリの自生地があり、今咲いていることが分かった。本日行ってきたので紹介する。

 場所は府中市の都立浅間山(せんげんやま)公園である。武蔵野台地の真ん中にある80メートルぐらいの高さの丘陵地だ。全体にかつての武蔵野の雑木林の植生を残している。そして、遊歩道が整備され、林床のササなどはきれいに刈られていた。

 ということは、よく手入れされた里山と同じだ。当然キンランギンランは…花盛りであった。あんなに咲いているのは初めて見た。まったく、嬉しいかぎりだ…(興奮)。

 さて、気を取り直してキスゲである。草丈は50センチメートルもないが、花は思ったより大きい。頂上付近の明るい雑木林の下草の中に点々と咲いていた。画像のように少しオレンジがかった上品な黄色、キンランとほぼ同じ色、である。花の形はスッキリとして類縁のノカンゾウと似ている。ニッコウキスゲは朝花開くと夕方にはしぼんでしまう一日花だが、これは翌日まで 保つ両日花だ。

 ムサシノキスゲは、冷涼な高原に生息するニッコウキスゲが低地に適応した変種とされる。昔は武蔵野全体に生育していたが、里山の開発と荒廃のため現在はこの場所のみだそうだ。都のHPでは「日本で唯一の自生地」などと出ていたが、そうしてしまったことがなんか悲しい。大事にしなくては。