植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

クゲヌマラン

 

f:id:M_majipan:20190429080843j:plain

 そろそろ里山は私の好きなキンランギンラン(金蘭、銀蘭)のシーズンである。以前、近場で希少種のギンランを探し回ったが見つけられず、あきらめた帰路、とある駅前団地の一角で見つけた話を書いた。

 今年はどうかとその場所に行ってみた。うれしいことに数が増えており、咲きそろっていた。相変わらず楚々とした佇まいだ。さっそくデジカメで撮って自宅で詳細に観察した。

 先ず、よく似たササバギンランとの区別である。ギンランは、(1)花序(花が房のようになっている部分)の下にある小さな葉(苞)が短い… フムフム、確かに花序の下に小さい葉がついている。(2)花の下の突き出した部分(距、きょ)が短い… あれ!距がないぞ?花を横から見ると距が下に突き出しておらず角張って見えない。よく見るとその部分はすこし膨らんで色も微妙に違っている。以下比較のため、昨年撮ったギンランの花を示す。

f:id:M_majipan:20190429080936j:plain

 いろいろ検索してみると、どうやらこの花は「クゲヌマラン」という種類らしい。二次大戦前に藤沢市鵠沼(くげぬま)海岸(当時は結核の療養地として有名)で発見されたものとのこと。他にも、可能性としてギンランの花型の変種(ペロリア)があり、ヨーロッパ原産の近縁種も入ってきているそうだ。ワカラン。素人としてはここまでだ。

 そういえば、花の時期がギンランより早い。キンランギンランは林の中の薄暗いところを好むが、このランは日なたに生えている。すぐ近くに並木のケヤキが生えているが腐葉土などはない。共生に必要なラン菌が上手くついているのかな…。共生から光合成に戻っているのか…。また謎が増えてしまった。