植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

キタマゴタケ(黄玉子茸)?

f:id:M_majipan:20210722040236j:plain

この画像は7月12日のもの。梅雨の晴れ間に丘陵地を歩くとキノコがポコンと出ているのをよく見かけた。まだ梅雨の末期で今ほど暑くなく、非常に湿気が強かった。9月下旬の秋の長雨頃のキノコのシーズンと気候が似ているので、思わず顔を出したのだろう。

 

色々な種類があるが、このキノコは鮮やかな黄色に強烈な印象を受けた。釉薬がかかった陶磁器のような透明感がある色合いと焼きプリンのような質感である。傘が開いたものは周囲に条線が表れている。中央がへこんで色が少しカラメルっぽくなっておりますますプリンだ。別の角度から見ると軸にツバがあるのが分かる。

 

手持ちのキノコの図鑑に無く、ネットの画像の比較と特徴からタマゴタケの仲間と判断したが、もとより確信はない。いくらプリンみたいでも食べる気はしない。

カリガネソウ

f:id:M_majipan:20210721172507j:plain

小山内裏公園には多摩丘陵の珍しめの野草を集めた見本園がある。今の時期は夏草に紛れていることが多いので、実物をよく観察してから探すと見つけやすい。

 

画像はカリガネソウである。地味なものが多い中でこれだけ浮いたような存在感だ。最初は園芸種が紛れ込んだのかと思った。草丈は1m近くあり、派手な紫の花である。雁金草というのは花の形が鳥の雁(かり)に似ているところから来ている。触るとイオウ臭がするそうだが、試さなかった。

 

シソ科。花弁は5枚で上向きに2枚、左右に2枚。下向きの一枚が大きく白い紋様がある。白い雄シベ雌シベが上に長く伸びて大きく前に弧を描いている。花粉を運ぶ虫が花びらにとまると、雄シベが背中に当たって花粉を振りかける仕掛けになっている。

 

残念ながら自生したものにまだ出会ったことがない。必ずどこかに生えているはずなので、探してみるつもりである。

ウワミズザクラの実

f:id:M_majipan:20210719184810j:plain

小山内裏(おやまだいり)公園は多摩丘陵の一角を残した都立の公園である。そこを歩いていて、雑木林の縁でカラフルな実を付けた木に出会った。

 

調べるとウワミズザクラの実とのこと。要するに赤や黄色のサクランボがブドウのような房になっているのだ。何とも嬉しくなるような色合いである。

 

日本全国に自生するサクラの原種の一つである。といっても小さな花が多数集まっている総(ふさ)咲きの種類(バラ科ウワミズザクラ属)で、普通のヤマザクラ(サクラ属)などとは違う系統だ。大木になり、春に白いブラシのような花を木全体につけるが、地味で目立たない。この辺りではよく見かける。

 

名前の由来であるが、漢字では「上溝桜」と書く。しかし実は「占(裏)溝桜」で、ウラミゾザクラというのが本当らしい。太古の昔、神様にお伺いを立てるとき、裏に溝を彫った鹿の肩甲骨をこの木を燃やして焼き、生じたヒビで吉凶を占ったという。由緒正しい、神聖な木なのである。

ミズタマソウ(水玉草)

f:id:M_majipan:20210715072348j:plain

f:id:M_majipan:20210715072320j:plain

多摩丘陵の林下の湿地に生える。花が終わった後の丸い実に白い毛が多く、水玉のように見えるのでこの名がある。拡大すると確かに水滴がたくさんついているような印象である。涼し気な雰囲気だ。

 

f:id:M_majipan:20210715072405j:plain

比較のため雨後のウマノスズクサの葉についた実際の水滴を示す。確かに丸い水滴の表面の一部や周辺に空が写って、白く光っている水滴に感じが似ている。茎に並んだ実も、ぐっしょり濡れて雫(しずく)が垂れているようである。

 

ツキミソウなどと同じアカバナ科。日本全国の山野に自生する。花はガクが2枚。白い花びらも2枚だが深く切れ込んで4枚に見える。実は径3~4㎜で先の曲がった毛が多い。

シオデの花

f:id:M_majipan:20210715044256j:plain

海の中のクラゲの幼生(ようせい)のように見える。今日は曇って時々陽射しがあり蒸し暑いが、見ていると涼しげに感じる。

 

花は長い柄があって半球状の花序を形成する。個々の花は花被片(ガクのようなもの)が反り返って球状になっている。雌雄異花。これは雄花で6本の雄シベが出ており、先端の葯は細くかぎ状に曲がる。雌花は子房が丸くダンゴが2個つながっているように見える。

 

正式名タチシオデ。サルトリイバラ科。日本各地の林下に自生する。ツル性で、葉の根元から巻きひげを出して周囲にまとわりついて伸びる。果実は黒く直径1㎝の球の集まりだ。

 

春の若芽は、「山のアスパラ」といわれて人気のある山菜で、栽培もされている。名前の由来はアイヌ語らしい。

ツヅラフジの花

f:id:M_majipan:20210714112129j:plain

f:id:M_majipan:20210714112145j:plain

雑木林の林縁や路傍の草むらで春からよく見かけた植物である。正体が分からず、長い間謎であった。ツル性で、若芽が尖ったスペード型をしており、ヘクソカズラやアカネとも思ったが葉の付き方や質感が違う。葉が大きくなってくるとキヅタにも似てきた。サルトリイバラにも似ているが、巻きひげがない。葉が特徴のない舟型から、五~七裂してブドウみたいなものまで千変万化して、個体ごとに別の植物のようである。

 

最近花を付けているものに出会い、ようやく名前が分かった。ごく小さく薄緑色の地味な花である。ガクと花びらは6枚。花びらはよく見ると先が二つに割れている。雌雄別株でこれは雌花、中央に雌シベの柱頭が見える。雄花は雄シベが目立つ。これで草ではなく木なのだそうである。身近では長く伸びたものは見たことがない。

 

ツヅラフジ科。日本と東アジアに分布。フジ(藤)に似たツルでつづら(葛籠)を作ったのが名前の由来。つづらとは植物のツルで編んだ蓋つきの箱のようなものだ。昔話「舌切り雀」に出てくるアレである。

 

秋にブドウに似た実を付ける。亜種としてオオ(大)ツヅラフジとアオ(青)ツヅラフジがあるがよく似ている。画像の植物はどちらかわからない。おそらくアオの方である。実の色が違うので、その時期にまた話題に取り上げるつもりである。

ミズヒキの花

f:id:M_majipan:20210713090834j:plain

横向きだが上が紅で下が白、半々に色分けされた変わった花。ただし径1-2㎜と極小だ。この花弁のロウ細工のような透明感が好きである。紅白でメデタイということで、名前はミズヒキ(水引)という。お祝い品に付ける飾りだ。

 

長い花穂には赤いツボミがずらりと並び、順次咲いていく。拡大しなければただの赤黒い線にしか見えない。葉にV字型の模様が入り、タデ科の特徴が出ている。夏から秋にかけて道路脇など至る所でこの草を見る。ああ夏だと思った。