植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ウワミズザクラの実

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小山内裏(おやまだいり)公園は多摩丘陵の一角を残した都立の公園である。そこを歩いていて、雑木林の縁でカラフルな実を付けた木に出会った。

 

調べるとウワミズザクラの実とのこと。要するに赤や黄色のサクランボがブドウのような房になっているのだ。何とも嬉しくなるような色合いである。

 

日本全国に自生するサクラの原種の一つである。といっても小さな花が多数集まっている総(ふさ)咲きの種類(バラ科ウワミズザクラ属)で、普通のヤマザクラ(サクラ属)などとは違う系統だ。大木になり、春に白いブラシのような花を木全体につけるが、地味で目立たない。この辺りではよく見かける。

 

名前の由来であるが、漢字では「上溝桜」と書く。しかし実は「占(裏)溝桜」で、ウラミゾザクラというのが本当らしい。太古の昔、神様にお伺いを立てるとき、裏に溝を彫った鹿の肩甲骨をこの木を燃やして焼き、生じたヒビで吉凶を占ったという。由緒正しい、神聖な木なのである。