植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

丹沢の有孔虫化石

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 有孔虫とは、石灰質の殻をもつ海洋プランクトンの一種である。多くは直径1ミリ以下の円盤形であるが、直径数ミリの大型のものやユニークな形をしたものもいる。南の島の「星砂」もその仲間の殻だ。大体熱帯から亜熱帯の海に広く分布している。

 何故これが「近場の地学」かというと、神奈川県の丹沢山地でこの生物の化石を含む石灰岩が採れると聞いたからである。一度見てみたくて、酒匂川流域の丹沢山地の河川の河原などを探しまわり、ようやく見つけた。

 画像は、その石灰岩の一部を研磨してスキャナーで取り込み拡大したものである。黒っぽい円盤や唇を思わせる形のものがそれである。大きさは1ミリ以下なので肉眼ではほとんどわからない。フリスビーの大小のディスクを二枚合わせたような形をしており、画像はそれを横から見たものになる。この形について、私は空飛ぶ円盤か、銀河星雲を連想するのだがいかがであろう。

 

 サンゴ虫は海水中のカルシウムを集めて石灰質のサンゴ礁を形成する。これが長い年月堆積して埋もれ岩石化すると、石灰岩になる。要するに石灰岩は太古のサンゴ礁の化石である。但し古生代中生代のもののようにあまり時代が経つと、石灰質が均一化してしまいサンゴの形が残らないものが多い。この石灰岩新生代のもので比較的「新しい」ため、サンゴ等の形が複雑な模様として残っている。そのサンゴの間を有孔虫が泳いでいてその殻も一緒に堆積したのであろう。

 ネットで調べると、神奈川県や博物館のHP等で「丹沢の化石サンゴ礁」という言葉が多数出てくる。門田正人という先生の発見だそうである。丹沢の石灰岩を調べると、1500万年前に南洋で形成されたものとわかった。丹沢山地は大体火山噴出物の堆積岩である凝灰岩などからできている。研究を総合すると、現在のマリアナ諸島付近の低緯度地方の海で海底火山の噴火により浅い岩礁や火山島が形成され、サンゴ礁ができた。その後、その火山島の乗ったフィリピン海プレートが北上して500万年前に日本の本州に衝突して日本列島の一部となった。有孔虫化石はその証拠である・・・

 何とも壮大な話だが、これ以上は別途書きたいと思うので、今回はこれぐらいにしておく。

 

ニラの花(その2)

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 ニラの花が満開だ。地味だが一斉に咲くと見ごたえがある。但しニラの畑ではなく、ネギ畑の傍らの農道みたいな場所である。他にも気を付けてみていると、いろいろな場所で見かける。ちょうど今頃、僅かにさわやかさを感じる風が吹き始めた、晩夏から初秋にかけての風物詩だ。

 ネットで調べていると、いろんな薀蓄が出てくる。種類的にはヒガンバナなどと近縁だそうだ。これで突然花が現れることも解せる。またニラの花のテンプラなんてものがあるとのことで、季節感を大事にする日本料理は素晴らしいと感じた。

ニラの花

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 例年秋口に畑の端や畦道に群生して咲いているこの白い花。近寄ると結構きれいなのだが名前を知らなかった。雑草として摘んでみてその臭いから初めてニラの花であることを知った。

 小さな花が半球形に集まっており、立体的で接写がうまくいかなかったので、一つ摘んでスキャナーで取り込むと画像のようになった。正多面体かサッカーボールのような花の配置である。

 この植物で不思議なのは、ちょうど今頃突然出現することだ。葉が地味で目立たないためかも知らないが、短期間に一気に伸びて花を咲かせるせいだと思う。葉が畑のニラよりよほど小さく細く、餃子に入れるのは難しいかもしれない。昔の農家さんが植えたものが野生化したものだと思う。

ホトトギス(花)

 

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  ホトトギスが咲き始めた。10月ぐらいまで咲き続ける。ユリ科にしては花が小さくその代り数多く花をつける。あまり目立たないが、近づいてよく見ると実にユニークな色・模様をしていて驚く。

 画像の花は、まるでコバルト色の蛍光を発しているようである。独特の斑点模様も抑え気味で上品だ。里山を残した公園の林縁の湧き水の近くに群生していた。タイワンホトトギスという種類と思われるが私には見分けがつかない。

 欲しくなってネットで調べてみると販売されている園芸種も結構あるようである。近いうちに手に入れたいと思っている。

キツネノカミソリ

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 8月初めに雑木林の縁の日蔭で群生しているのを見かけた。なんで今頃ヒガンバナが咲いているんだと思ったが、近縁のキツネノカミソリであった。ヒガンバナより色がくすんでいて、花びらも枚数が少なくてあまり反っていない。花の形からユリ科と近い関係にあることがわかる。

 名前の由来だが、調べたところ、昔の「剃刀(かみそり)」は一枚の花弁に似た小刀形をしていたとのこと。そして葉がなく花だけが突然現れることから「狐の仕業」と思われた。だからキツネノカミソリ。葉はヒガンバナと同じように春先に出て枯れてしまうそうである。

 確かに妖しい感じであるが、照り付ける太陽を思わせる花は猛暑の夏にふさわしいと思う。

テッポウユリ

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 近くの住宅街で一斉に白いユリが咲きだした。花弁に筋があったりなかったりなので、テッポウユリタカサゴユリもしくはその雑種だろう。ヤマユリのような模様が入っていないので清々しい感じがする。

 住宅街なのだが、民家の庭だけでなく、道路際や線路際の斜面などにも分布している。植えられたものではなく、もともと咲いていた野山が開発されてしまったのかもしれない。

 今後も真夏に咲き続けて欲しい。

オニドコロ

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 葉の形からヤマノイモと思っていたこの植物。花が咲いてようやく別種のオニドコロとわかった。よく見ると葉が大きくて丸っこくムカゴがついていない。イモは苦く毒だそうである。食べられないから「オニ」、「トコロ」はよくわからないとのこと。

 この花は2ミリ程しかなく、若い芽と同じ薄緑色なので全く目立たない。しかし拡大すると、半透明の六弁の花がひも状のもので連なっており、クラゲの幼生みたいな動物的な印象を与える。ちょっと不思議な感じがして好きである。