真冬の雑木林の地面は、木々が葉を落として弱い陽光が届き、乾いて白くなった枯葉の反射もあって明るい。陽だまりで枯れ残りのタチツボスミレを見つけるとほっこりする。他にはほとんど何も無い。
中の小道を歩いていると下の画像のような植物が点々と生えていることに気づいた。どれも左右10~20㎝程度で小さく、枯葉に半分埋もれている。葉は少し痛んでいるが、新芽もあるようだ。
何だろう?どこかで見たことがある。枯れた花ガラなどが残っていればヒントになるのだが何もない。大体、木なのか草なのかもわからない。葉は3枚複葉で5枚のものもある。毛が多く根元の方にトゲがある。これまでの経験からするとバラ科に思える。
結論から言うと、バラ科のクサイチゴのようだ。これまで何度も見ているはずなのに印象が違っていてわからなかった。丈がせいぜい50㎝と小型なので、「クサ」という名前が付いているが、キイチゴの仲間である。小柄ながら花や実(画像下)は立派なものである。花期は3、4月で5月には実がなる。冬には紅葉して葉を落とすものもあるが、ここのように青葉が残っているのは、日当たりと枯葉の保温効果が関係していそうだ。
(2021年5月13日。多摩丘陵)