4月に満開の花で楽しませてくれたヤマザクラ。今は葉桜になっており、サクランボができていた。そういえば山形県のサクランボも今頃だ。ずっと小さいが楽しくなる瑞々(みずみず)しい色合いは同じである。薄黄色→橙色→赤→濃い紫色と変わっていく。大きさはいろいろあるように見えるが遠近法の錯覚で、径7,8㎜でほぼ同じだ。
咲いた花の数よりずっと少ないのは、鳥に食べられたからだろう。その結果消化されない種があちこちに運ばれることになる。春の一時期、野山がところどころピンク色に煙るのはこうして分布を広げていくヤマザクラが咲いているのである。
サクラには自家受粉できない性質がある。ヤマザクラはよく見ると木によって葉や花に個性がある。交配による多様性が自生して生きていく上で重要なのだろう。一方ソメイヨシノは作出された品種で、すべて同一クローン(遺伝子)なのでサクランボはできない。たまに間違えたようにできていることがあるが、別種との交配によるもので、種は雑種になってしまう。そのためソメイヨシノの木があればすべて人為的に植えられたものである。