植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ノイバラと蕪村の俳句

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画像はノイバラ(野茨)の花。花のつくりは先に紹介したフジイバラと同じだが、葉の大きさが同じぐらいなので、花が小さい(直径2㎝ぐらい)のが分かると思う。花期も少し早く、もう終わりかけている。地味だが好きな花である。

 

半ツル性で1-2mほど立ち上がってからツルを周りに垂らす。今頃は多摩丘陵や低山の至る所で咲いて芳香を発しているのに出会う。ただし人里では空地にすぐ生えてきてトゲのある繁みを作るので、「茨野(いばらの)」は人の手が入らず荒れた土地を意味する。

 

与謝蕪村の俳句にイバラを詠んだものがいくつかある。

「路(みち)絶(た)えて香(か)にせまり咲く茨かな」は好きな句だ。

荒れ野の中の細い道を歩いていくと、道がなくなり、そこにイバラが芳香を発しながら、道を狭めるように咲いていた。という意味であろう。蕪村がイバラの花を見て自分の故郷を思い、郷愁を詠んだものと解釈されている。この花のたたずまいや香りは愁いを癒してくれるように思う。