植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ウノハナ:夏は来ぬ

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 今の季節、野山の新緑を見ていると、「卯の花の匂う垣根に…夏は来ぬ(なつはきぬ)」という歌を思い出す。

 旧暦4月(卯月、うづき)に咲くからウノハナである。5月の山道の林縁はごく小さな白い花をたくさんつけた木であふれる。これが何種類もある。ノイバラのように知っているものもあるが、皆ジミで似ていて判別できない。そこでいくつか接写してネットで調べてみた。

 結局、一番多かったのが画像のウツギだった。これがいわゆるウノハナである。2,3メートルほどの高さの低木で、垣根にも使われている。字は空木と書く。枝が中空になっているためだそうである。まだ咲き初めだが、新緑の葉と相まって清澄な印象を与える花である。

 ところで、顔をつけて嗅いでみてもこの花は匂いが無い。歌と違うと思い調べてみると、古文の「匂う」は「美しく映える」という意味で、匂いがするわけではないそうである。

 今の季節は「風薫る」と言われるぐらい、野山は様々な花木の香りに満たされる。私はその香りをウノハナのものと誤解していたようである。