近場で最も古い地層といえば、中生代白亜紀後半(1億年~6千5百万年前)の小仏(こぼとけ)層群である。以前、そこに含まれる岩石として、強い力を受けた硬い砂岩について紹介した。今回はその次に古いものをあげてみた。
新生代古第三紀に堆積した「相模湖(さがみこ)層群」(3千5百万年~1千6百万年前)である。相模湖から津久井湖周辺に分布している。これは小仏層群の南側に接しているが、不連続(不整合)である。日本全体としては、両者合わせて「四万十(しまんと)層群」と呼ばれる広範囲の地質構造に属している。
画像に相模湖層群の礫岩(れきがん)を示した。神奈川県相模原市の相模川の支流の河原に多数転がっていたものだ。一見すると変哲もないコンクリートの塊のように見える。しかし、拡大してみると大小の礫の間を砂岩が埋めており、セメントは含まれていない。
この礫岩の特徴は、礫(径2ミリメートル以上)が全て角張っているため「角礫岩」というべきものであることである。川を流れたりすると多少なりとも丸くなると思うが…。また、真っ黒な角礫が目立つが、これは「頁岩(けつがん)」という泥が固まった岩石だ。この石は大変もろくすぐ粉々になる。そのような石が含まれているのも不思議である。さらに、普通なら重い順に層状に沈むはずであるのに、かきまぜられたような形で残っているのは、砕けた直後にそのまま固まったためのようだ。
調べてみると、この岩石の成因は「海底地滑り」だそうである。つまり、大陸棚で堆積して固まった泥(頁岩)が地滑りによりガサっと削られ、乱泥流として深海に一気に運ばれて堆積したものと考えられている。
この地滑りは繰り返し起こっており、大きなものは幅数キロメートルにわたっていた。そのため、巨大な岩が転がり込んだ跡が地層の中に観察されるとのことである。それを引き起こしたであろう巨大地震も合わせて考えると、なんとも凄まじい現象である。