植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

松田断層

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 「3D地形図で歩く日本の活断層」(柴田元彦著 2016)を読んだ。日本の代表的な活断層とそれが作った独特の地形について解説したものである。そのうちの一つが私の故郷にあるため興味を持った。子供のころは、近くの山が平野から急に高くなり山の稜線が直線的に続くことが不思議であった。活断層によるものとは知っていたが、今回正確なところを再認識した。

 さて、活断層による地形について、近場で以前から気になっているところを訪ねてみた。神奈川県北部を占める丹沢山地の南西の端になる松田町付近である。

 小田急新松田駅付近は南方に足柄(あしがら)平野が相模湾まで続いており、その中央を酒匂(さかわ)川が流れている。この付近から海岸沿いの国府津(こうづ)まで、北北西から南南東に一直線に続くのが「松田断層」である。

 活断層特有の直線状地形は、隣の開成(かいせい)駅付近の堤防から見ることができた。画像手前は酒匂川で、遠景に丘陵地が直線状に続いている。そこが断層線に当たり、断層崖やせり上がった丘陵地は水田にならないので、明らかに違った景色になる。

 以前、丹沢山地がはるか南方で形成された火山島がフィリピン海プレートの北上により日本列島の一部になったものであることを紹介した。その南側からの押す力は現在も働いており、断層面で北東側がせりあがった(逆断層。正確には横ずれ断層で、北東側が浮き上がった)ものだそうである。

 活断層と言えば地震との関連が気になるところであるが、日本全国が活断層だらけで安全なところなどない。活断層の専門家による評価については政府のデータベースがある。調べてリスクをわきまえたうえで、各自心構えをしておくのが大切であると思う。