植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ガクアジサイ

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 花びらに見えるのは萼(ガク)である。周囲のガクのみからなっている花は種はできず、装飾花と呼ばれる。一方、中央部には小さな両性花(雄シベ雌シベを備えていて、種ができる)が密集している。この装飾花が額縁(がくぶち)に見立てられ、額アジサイと言うのが名前の由来とのこと。萼アジサイではない。

 日本原産で、野山に自生している。普通のアジサイはこれを原種とする園芸種である。考えてみればガクばかりの花に自然の状態で種はできない。

 両性花は基本的に4枚のガクの他に、5枚の花弁、10本の雄シベ、および1本の雌シベからなるという。しかし、この花の場合は拡大してみると数が足りないものが多く、一部退化しているようである。

 そういえば子供の頃古い家では、アジサイは庭の隅のトイレの近くなどに植えられていた記憶がある。そのためどうも暗い印象であった。最近までそうだったように思う。

 ところが欧米人の感性(かんせい)は違っていたようである。幕末にシーボルトらが欧州に持ち帰ってから改良され、学名からハイドランジアHydrangeaと呼ばれて様々な品種ができた。

 最近多種多様なアジサイの花を見るが、園芸種が逆輸入されたのであろう。独特の色合いや花の形は見ていて楽しいし、庭先の鉢植えなどは、その家の人のセンスが光るものである。ちなみに有毒だそうだ。和食の飾りに使われているものを食べてはいけない。