植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

女郎花と男郎花

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 里山のススキとササの原にオミナエシ(女郎花)を見つけた。その華やかな黄色に息をのむ。後ろに見える白い花はオトコエシ(男郎花)だ。こう見ると花の色だけでなく葉の形にも違いがみられるが、佇まいは似ている。大きくて少し地味で武骨な感じが、男性的だ。

 探すとこれらの組み合わせがもう一か所あった。共存しているのはちょっと不自然だが、どちらの場所も住宅地の中で里山が保存されているところで、人の手が入っている。まあ固いことは言わないでおこう。

 この情景を見て思ったことがある。国宝「鳥獣戯画」はカエルやウサギを擬人化した絵が実に楽しいが、背後の情景として所々に置かれた様式化された「秋草(あきくさ)」も捨てがたい。ススキと組み合わされた植物は数種類あり、その中の2種はオミナエシとリンドウであろうと思っている。とすると墨一色の絵に色を付けるなら、ススキの緑に、オミナエシの金色に近い黄色と、リンドウの青紫が加わる。岩絵の具なら、孔雀石と金箔、それに藍銅鉱(アズライト)を使うと、華やかだが落ち着いた秋らしい風情が出ると思う。