植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

縄文土器の呪い

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 (オニユリ 自然公園の遊歩道)

 ある日のこと、うちの狭い庭の片隅に植木鉢のカケラみたいなものが地面から顔を出していることに気がついた。掘り出してみると、手に収まるぐらいの大きさの土器片であった。泥を洗い落すと独特の縄目模様が現れ、縄文土器だとわかった。

 奇妙だったのは、全体が恐らく雲母片であろうキラキラした粉末で覆われていたことである。こんなものは見たことがない。庭木の根本に置いておいたら、そのうち忘れてしまった。

 庭に異変が起こり始めたのはその頃からである。先ず翌朝、芝生が溶けるように枯れてしまった。霜が降りるような季節ではないし、病気や害虫ではなさそうだ。誰かが除草剤か何か撒いたのかとも思ったが、枯れたのは芝だけであった。

 次は、庭木のヤマモモであった。きれいな赤サンゴ色の実がなるのだが、植えて10年以上、一向に実がならなかった。それが突然実をつけた。それも大量に。これは嬉しいことなのだが、なぜ急に実をつけたのだろう。

 さらに、プランターや庭に植えた花なども枯れてしまった。そして、ツタのような植物が勝手に生えてきた。仕事が忙しくて放っておいたところ、そのうち庭中を覆うほどはびこってしまった。

 そこで、一念発起して休みの日に庭の大整理をすることにした。半日がかりでツタを全部抜き、庭木も刈り込んで、ようやくすっきりした。ツタの下になった植物はほとんど枯れていた。

 大汗をかいたので休んでいると、ちょうど夕日が沈むところであった。ふと気づくと、ヤマモモの根元にあの土器片が見えた。夕日が当たってキラキラ光っていた。しばらく眺めていると、不思議な気分になった。土器を取り上げると、以前それを見つけたあたりにそっと埋めた。

 その後は、奇妙なことは起きていない。

 ひょっとするとこの縄文土器には呪力(じゅりょく)があって、外来の植物を駆逐し、日本古来の植物に恩恵を与えたのかもしれない。あれ以来、庭に芝や外来種の花は植えていない。殺風景にはなったが、庭の植物は元気である。

 

夏のヒメジョオン

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 ヒメジョオンは初夏の頃に一度紹介した。猛暑の中最近もよく見かけるが、どうも以前と印象が違う。全体に華奢になり、花も小さくなっているように思う。

 但し、花がずっと咲き続けたためか、咲き終わった花も一緒になって、面白い画像になった。星雲の中の星みたいだ。

駅の怪

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 (白花のキキョウです。ちょっと怪しいものを感じる。)

 

 小田急小田原線沿線の街は、現在は明るくオシャレな場所であるが、一昔前は人気(ひとけ)が無くて寂しいところも多かった。駅も長年の人いきれで薄汚れていた。交錯したであろう悲喜こもごもの様々な人生が染みついたように。

 その駅は長い歴史を持つ街のもので、その分駅舎も古い。改札口から薄暗い階段を上ると蛍光灯に照らされた明るいホームになる。ホームはどこか昭和の雰囲気が残っていた。

 少し前になるが、私はその街で働いていた。夕刻、その帰り道、いつものように駅のホームに上がっていった。一日の疲れを感じて足取りが重かった。ホームでは人の気配がしていた。

 上がりきってから周りを見るとなにか変だ。ホームに人がいないのだ。移動したわけでも、電車が来て乗っていったわけでもなさそうなのに。そして何気なく、先ほど人の気配がしていたあたりに視線を向けた。

 その時見えたのだ。黒い皮靴を履いた足先だけが…。 他にもう一つ、ハイヒールを履いたのもあったような気がする。一瞬凍り付いて数秒固く目をつぶり、そっと目を開けると、そこには何もなかった。

 その時新たに階段を上がってくる人があり、そのうち電車も来て、いつものホームの光景に戻った。

 私は何を見たのだろう。何かの事件がそこであり、その時の関係者の強い思いがそこに残ったのか…。今思っても謎である。

黄昏時の魔

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 画像は私の住んでいる街の変哲もない夕暮れの空の情景である。夕焼け空の残影と、電線の交錯が面白いと思った。

 よく見ると自動点灯の街灯が点いていない。街灯は点いたとたんに光が当たっているところ以外の周りが闇に沈み夜に変わる。街灯が壊れていると、夕焼けの最後の色が消えるまで夕暮れ時がずっと続くような気がする。

 夕暮れ時は黄昏(たそがれ)ともいう。一日の活動を終えてホッとするときである。こんな時は不思議なモノが感じられたり見えたりするという。昔の人は「魔」と呼んだ。私もそういうものに遭遇した経験がある。単にボーとしていて夢を見ただけかも知れないのだが、その時は結構衝撃を受けたことを思い出す。

 先に書いた「謎の光点」も黄昏時であった。怪談話の季節なので、今後、「謎シリーズ」でそういった経験を書いてみたい。

ヤマユリ(2)

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 最近多摩丘陵で見つけたヤマユリの群生である。猛暑の中見る人もなく咲き誇っていた。

 土地の人によると、昔はもっとたくさんあったが、目につくところは皆取(盗)られてしまい、今はあまり残っていないという。しかし街でもこの花はほとんど見かけないので、庭に植えても育ちにくいのだろう。農家さんは草刈りの時残すので、畑の近くの斜面で見事な株を見ることがある。

 見たい人は、関東地方なら里山を少し注意して探せばきっと会えると思う。猛暑の季節ではあるが、今花盛りだ。あとはそっとしておいてください。

 

蓮の花

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 薬師池公園(町田市)に家内とハスの花を見に行ってきた。このところ猛烈に暑い日が続くので早朝である。それでも散歩の方や写真を撮っている方がいて、結構にぎやかだった。

 ハスの花は独特の紅色に縁どりされた淡いピンク色である。葉の鮮やかな緑との対比もあり、眺めていると異世界へ誘われるような感覚に陥る。葉の上の水滴も夢幻的である。

 このハスは大賀ハスといって、2000年前の遺跡から出てきた種から芽生えたものだそうだ。インド原産のハスが太古にどのようにして日本に伝わったかも興味があるが、その生命力にも驚かされる。

 あと、公園内は自然のままのヤマユリが盛りだったが、もう暑くなってきて、早々に引き揚げた。

 

ヤマユリ

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 里山ヤマユリが咲き始めた。一か月前はどこにあるかわからなかったが、茎がシュルシュルと伸びてきて、ポンとびっくりするような大きな花を咲かせる。その力強さで、まさに盛夏を感じさせる花である。

 多摩丘陵近辺はユリの種類が豊富だ。ヤブカンゾウは今盛りだし、ヤマユリと同時期に咲くオニユリもよく見かける。8月にはテッポウユリの仲間が次々と咲き始める。ホトトギスの花も結構渋い。

 以前から、ササユリというピンクのユリに憧れているのだが、静岡以西にしか分布しないのでまだ直に見たことがない。来年こそは会いに行きたいと考えている。