植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

縄文の積石遺構

先日東京都町田市出土の中空土偶について紹介した(2023.1.9付)。興味を覚えたので、出土場所まで行ってみた。田端遺跡といい、多摩丘陵の裾あたりに位置する。南西側に相模原台地が大きく開け、かなたに丹沢山地や富士山が望まれる。今はニュータウンの一角になっており、一部が土盛りされて保存され、地表には再現された石が配置されている。ストーンサークルと書いたが正確には環状の積石(つみいし)遺構である。

 

遺構は大小の自然石(河原石?)からなり、東西9m、南北7mの楕円形をしている。画像は東から西方向に見た全景。所々の立石は高さ30~50㎝で、なかなか意味ありげな配置である。内部及び周辺には多数の墓の跡があり、種々の遺物が発見されている。時代は縄文時代後期~晩期(3900~2800年前)に連続的に形成されたもので、墓域や宗教行事の場であったとされている。

 

中空土偶が出たのは、すぐ隣の田端東遺跡である。多数の住居跡が発見されており、この辺り一帯が長期にわたって縄文人が集住した場所であったことは確かだ。狩猟採集生活とはいえ、定住可能な自然の恵みがあったのだろう。そのため遠方との交易がされて、そっくりの土偶が北海道の遺跡から出土するようなことが起こったと思われる。こういうことを遺跡や遺物をもとに想像すると楽しい。