季節が冬へと進み、道端の植物も枯れてだいぶ寂しくなってきた。今頃目立ち始める花がヒメツルソバだ。コガモたちのいる川では護岸に大きく広がって、薄いピンクの花をびっしりとつけている。
タデ科の多年草。ヒマラヤ原産で明治時代に園芸用に導入された。今では至る所でこの花を見かけるようになった。這うように茎を伸ばし地面に接したところで根を出して広がっていく。花は直径1㎝ぐらいの球形の集合花で、始め紅色がかかり、そのうちに白っぽくなる。
姫蔓蕎麦という名前は、小さくて可愛い感じのツル性のソバに似た花という意味だが、以前から違和感があった。どう見てもツル性ではない。ところが今回コンクリートの護岸に広がったものに直接触れられる場所を見つけて納得した。垂れ下がっているものを持ち上げてみると、ずっと上の方まで根は出しておらず、茎が延々伸びていることが分かった。これはまさにツルだ。長いものは3mほどもある。
コンクリートの割れ目やすき間から芽を出して永年伸び続けたものだろう。ヒマラヤの岩場で絨毯のように広がっている様を想像した。