まだ寒い日はあるものの春本番となってきた。路傍のタンポポも今盛りである。ありふれた花であるが、ひざまずいて見入るとその華やかさに改めて気づく。大きな花束のようになっているとなおさらだ。
日本在来種のタンポポは地方によって亜種があり、関東地方と中部地方に分布する種類である。関西地方ではやや花が小ぶりのカンサイタンポポが主になる。一方外来種のセイヨウタンポポが急激に分布を広げている。ヨーロッパ原産で、在来種に比べて繁殖力が強く、畑などの雑草として侵略的外来種に指定されている。
これらの見分け方のポイントはガクの形である。ガクといっても多くの小花を包んでいるので総苞(そうほう)と呼ばれる。鱗片(りんぺん)が集まったお椀形をしており、それが固く閉じているのが在来種で、開花とともにめくれて反りかえるのが外来種である。慣れてくるといちいち花の裏を見なくても外見で見分けがつく。
多摩丘陵でもタンポポは多いが、出会うのは在来種ばかりだ。外来種は大きな道路沿いや一部の畑の周辺などにまだ限られている。おそらく原因は、地形が複雑で種の付いた綿毛を飛ばしても広がりにくいことと、周囲の市街地化が急激に進んで隔離されたためと考えられる。