多摩丘陵に自生するカンアオイの仲間は、カントウカンアオイ、タマノカンアオイそしてこのランヨウアオイの3種類である。いずれも希少になってしまったが、中でもランヨウアオイはまず見つからず、私はこの1本しか知らない。以前葉だけの時紹介した(2022年1月15日付)。
花びらに見えるのは三つに裂けたガクで径1.2-1.4㎝。根元がタルのように膨らみ縦の筋が目立つ。開いた赤紫色のガクと中央の穴の印象が強烈だ。質感もウミウシのような軟体動物を思わせる。葉の根元にコロンと転がっている感じで咲いている。
ウマノスズクサ科の多年草。日本固有種。それも分布が関東地方南西部から静岡県東部、山梨県南部に限られる。いわゆるフォッサマグナ要素の植物である。近場でこんなものが見られるのは幸せだ。大切にしなければ。