普通のタチツボスミレには香りはない。ニオイ(匂い)タチツボスミレという香りがある変種が存在することは図鑑などで知っていたが、これまで実際に見たことがなかった。普通のタチツボが多すぎて紛れてしまうためだ。それに草丈5㎝ぐらいの小さな草なので微妙な差異は気合を入れて観察しないと分からない。
今春、多摩丘陵でようやく巡り合えた。ササや潅木が刈られて日当たりが良くなった里山の一角である。花びらはタチツボより丸っこい感じで、濃い赤紫色をしており中央の白抜きの部分が大きい。最大の特徴は花茎(花が付いた茎)にビロード状の白い毛があることである。
地面にはいつくばって香りを嗅いでみた。なんというのだろうシナモンやバラ、桜餅などいろいろなものの香りに似ている。見た感じの可憐な様子にピッタリの印象であった。