冬の多摩丘陵の林下。地面は厚く枯葉に覆われ何もないようだ。しかし、探しているとその中に瑞々しい緑色の双葉が顔を出しているのを見つけた。1枚が3㎝ぐらいあり大きい。何より今の寒い時期に双葉とは異様だ。頭上の親木を見て了解した。アオキの芽生えだ。そういえば周囲にアオキの枯葉が見える。表面が滑らかで鋸歯(周囲のギザギザ)が大きい。
アオキ科の常緑低木で、樹高は1-2m。名前は木全体が年中青い(緑色)ことに由来する。ちなみに先日紹介したカンアオイも寒中でも青いの意味である。日本固有種で本州から沖縄まで分布する。日陰に強く、たまに日が差すような森林や雑木林の下に多い。幹まで緑色で光合成に励んでいるようだ。
花期は3-5月で、実は1.5-2㎝の俵形だ。12月頃から赤くなって春まで残っていることがある。子供のころ実を取って遊んだ人はご存じかと思うが、中に大きな種が入っていて果肉はほとんどない。しかも不味いらしく鳥も春先で飢えた時にしか食べないようだ。なお、花は独特の美しさがあるので機会があれば紹介したい。
葉や実の美しさが昔から愛されてよく庭木になっている。斑(ふ)入りのものなど園芸品種も多い。知らない人はいないだろう。全国に青木さんという名字が多いのはそのせいだろうか。