朝、駅で電車を待っていたら、向かいの白いフェンスにツタがツルを伸ばしていた。変わった模様だったので写真を撮った。隣で待っていた人は何を撮っているかわからないようで、変な顔をしていた。電車が来たのでそそくさと乗った。
どうです、遠くの山のように見えませんか。水墨画みたいなタッチでなかなかシブイ。主脈から長い支脈が横に多数出て一旦上がってからなだらかに垂れていく。脈ごとに同じぐらいの大きさの葉が並ぶ。ちょうどツタの葉が赤くなりかけていて題名「紅葉の山」といった感じだ。
ツタ(蔦)はブドウ科ツタ属のツル性木本である。ツルの先端の巻きひげが強力な吸盤になっていて、垂直の壁でも平気で這い上がる。名前の由来は他の植物などに「つたって」伸びるからだそうである。英語でアイビーというが、ウコギ科のキヅタ類をさすことが多い。
童謡・唱歌の「もみじ」に、「…楓(かえで)や蔦(つた)は、山のふもとの裾もよう。」とある。その風景を、ツタ自身が描いているようで面白い。